リウマチの原因

自己免疫疾患の起こる仕組み

関節リウマチがなぜ起きるのか、はっきりした原因はよくわかっていません。

しかし、この病気のベースには免疫の異常が関わっていることは明らかになっています。

免疫とは、体内に異物(これを抗原という)が侵入したとき、これを攻撃する武器(これを抗体という)を作って異物を攻撃し、体外に排出する防御システムをいいます。

この主なる役割を担っているのが、血液に含まれる白血球です。

白血球には好中球、マクロブアージ、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球などがあり、さらにリンパ球には、T細胞やB細胞などがあります。

T細胞が主として異物(抗原)を認識し、B細胞は武器となる免疫グロブリンを作ります。

このシステムがうまく作動して、異物(抗原)がなくなれば、攻撃する武器(抗体)も消えてしまいます。

ところが、抗原が消えてもいつまでも消えない抗体や、本来攻撃対象ではない自分の体に攻撃を仕掛ける抗体ができてしまうことがあります。

これを自己免疫疾患といいますが、関節リウマチもその疾患のひとつです。

リウマチ患者の70%に見られるリウマトイド因子(リウマチ因子ともいう)は、攻撃する武 器、すなわち抗体の一種です。

どんな抗原に対する抗体なのかというと、抗体として働く免疫 グロブリンGがなんらかの原囚で変性したもの と考えられています。

どんな原因で変性するかというと加齢や炎症などです。

65歳以上の人では、リウマチを発症していなくても、10%の人にリウマトイド因子が陽性であることからも、 加齢が主な要因であるとされています。

確かにリウマトイド因子が免疫グロブリンに反応してトラブルが起きることはわかっていま すが、前述の通り、陽性の患者さんは7割で、 この因子を持っていない患者さんもいます。

また、リウマチを発症していない健康な人で陽性の人もいます。

遺伝的要素や性別などにも影響される

関節リウマチの原因は少しずつ解明されつつありますが、まだ全容が解明されたわけではあ りません。

リウマトイド因子同様、決定的とは いえないのですが、最近、関節リウマチの患者さんの遺伝子に特有な傾向があるのが明らかに なりました。

これは、免疫に関係の深い遺伝子であるHLAというタンパク質です。

関節リウマチの患者さんにはDR4というタンパク質から作られたHLAを持っている大が健康な人の4〜5倍いることがわかりました。

このDR4が免疫システムに認識されると、 異常が起きるとされていますが、決定的な原因 にはなりません。T細胞やB細胞の異常も原因 のひとつと考えられています。

T細胞を含む 様々な細胞から作られるサイトカインという物質がリウマチ発症原因と考えられています。

リウマチに隕らず、自己免疫疾忠は総じて男性より女性のほうが罹患率は高くなっています。

おそらく、女性のほうが出産に備えて高度な免疫システムを持っていること、自己免疫作用を 高める女性ホルモンなどがリウマチの原因に影響していると考えられています。