人工授精は妊娠を目的に、人工的に精子を女性の生殖器宮内に注入すること
タイミング法で妊娠しなかった場合に、次のステップとして採用されることが多い治療法です。高度な医療のイメージがありますが、採取した精子を子宮内に注入するというシンプルな方法です。タイミング法との違いは、セックスをするか、人工的に精子を注入するか、それだけの違いです。
人工授精が向いているのは、男性に軽度の乏精子症や勃起障害や射精障害があったり、精子の運動率があまりよくない場合です。女性について言えば、子宮頸管の粘液が少ないなどの場合です。多<の場合、精子に問題が認められた場合に行われているようです。
人工授精の妊娠率
人工授精の妊娠率は10%程度といわれますが、これは「治療で妊娠した人のうちで、10%が人工授精で妊娠した」ということ(体外受精・顕微授精は30%程度といわれます)。高い数字とはいえず、過度な期待はNG。体外受精の前のステップであり、「成功したらラッキー」と思ってトライを。
人工授精で妊娠した人の多くは、5回くらいまでのトライで成功していて、回を重ねても妊娠の可能性は上がりません.20代なら5回、30代なら3〜5回、40代なら3回を目安に体外受精へのステップアップを考えて.人工授精のときの精子の状態などは、次の治療の参考になります。
人工授精の治療の流れ
人工授精では、排卵日を特定することが成功のカギとなるため、一般的にタイミング法にくらべて超音波検査の回数がふえます。受精せずに回数を重ねた場合、同じ人でも使う薬の種類など治療内容が変わっていくことも多く、それによって治療費も変わってきます。工授精の費用は、基本的に保険適用外になります。
@超音波検査で排卵日を予測する
超音波検査で卵胞の大きさを確認したり、血液検査で黄体化ホルモン(LH)の値を調べたりして、排卵日を予測します。
A人工授精の日を決定する
超音波検査や黄体化ホルモンの値を調べる血液検査を何度か行ない、排卵日が近いことを確認したら、人工授精を行なう日を決めます。確実に排卵させるため、hCGホルモンを注
射して、排卵を促します。
B精子を洗浄して、濃縮する
自宅または病院で採取した精液を顕微鏡で確認してから培養液に入れ、遠心分離器にかけて洗浄・濃縮します、未熟な精子や細菌などをとリ除き、質のよい精子を残すためです。
C精子を子宮に注入する
内診台に上がると、医師が人工授精用のやわらかく細いカテーテルを使って、処理した精子を子宮に注入します。注入には数分しかかかわらずしばらく横になったあと、すぐに帰宅できます。
D排卵チェック
人工授精の2〜3日後に受診し、排卵したかどうかを超音波検査で調べます。必要に応じて、妊娠を継続させる働きがある黄体ホルモンの処方や注射をすることも。排卵チェックは行なわない施設もあります。
人工授精の費用 約1万4000円〜3万6000円
問診、超音波検査、血液検査、排卵チェックなどで約6000円
人工授精で約8000円〜3万円
合計約1万4000円〜3万6000円
※治療費の金額はあくまで目安です。金額は施設によって異なります。
まず、施設によって、人工授精そのものの料金にかなりの違いが。
さらに、それ以外にかかるhCGホルモンの注射やその他の投薬、超音波検査の回数などで、人工授精の費用に差が出てきます。